先週、 仕事は結構やった
魚眼レンズで撮ったデジタル写真をパノラマにつなぐ仕事
パノラマは10年程前から、ずいぶんたくさん撮っているが
デジタル時代は、「やり方」がちがう!
「これ」にハマッタのは
名古屋在住と思しき、あるアマチュア写真家のサイトを
デジカメ系掲示板で発見したのが、きっかけだった
正確には、デジカメ導入当初から
デジタルパノラマ自体は
CanonだのAdobeだののステッチ・ソフトを使って
既に(仕事としても)やってはいた
たとえば
1.人物を配置するパノラマをつくる場合
いい表情を狙って、人物が入るカットだけをたくさん撮ればいいとか
2.人物を含む動きモノをスピン(首振り型)パノラマで撮るには
事実上「シャッターチャンス」を選べないけれど・・・とか
3.スピンパノラマでは使えなかったストロボも使えるとか
4.アオリ・レンズを使ったパノラマも作れるとか
そういうメリットは既に生かして”デジパノ”しては、いた
つながりの悪さは、ホックニーのツナギ写真風という「逃げ」でやり過ごした
描写の特性としては
フィルムが円弧状に配置されているため(レンズとの位置関係も重要)
写った画像、いわゆる遠近法になっていない
普通、遠近法は消失点を ひとつだけ持っているが
スピン・パノラマには消失点が無数にある
・・・・・下の写真を見ていただこう
「乱調ラ・マンチャ、正調パリ」より
この写真、パリの凱旋門の屋上からパノラマで撮ったものだ
(正面真中に霞んでいるのは新凱旋門)
ご存知の方も多いと思うが
凱旋門が建つエトワール広場からは、道が放射状に伸びている
さてその放射状に広がっているはずの道は「どう?」写っているだろうか?
まるで平行に走っているように見えるでしょ?
少しだけ広がって見えるのは
カメラの位置が放射状の中心から外れているため
Colors in 90'sより
もう一枚、上の写真を見ていただきたい
この写真は、模様替え途中のショー・ウィンドウを撮ったもの
奥の壁に注目していただくと、こちら側にふくらんで見えるはず
しかし、実際は直線のビルに平行な直線の壁
これもスピンタイプのパノラマの特徴的な描写なのだ
直線的な人工物を含む空間を写す場合、欠点ともいえる
さらに言うならば、その欠点の歪みは
魚眼レンズの水平方向の歪みと同じなのである・・・・コレ憶えておいて欲しい
「乱調ラ・マンチャ、正調パリ」より
もう一枚、スペインはラ・マンチャの平原
ドン・キ・ホーテで有名なコンスエグラの風車を撮ったもの
このように、自然物の広大な空間を撮ると
先ほど指摘した二つの描写の特徴は微塵も感じることは無く、とても自然な描写だ
さて、そのアマチュア写真家は
魚眼レンズと魚眼レンズの歪んだ写真をきれいにつなぐ
専用のソフト(英語版のシェアウェア)を使ってるのが「肝」だった
ちょうど僕は、つなぎ合わせることは別にして
魚眼レンズの歪みを利用したパノラマ写真に関心があり
魚眼レンズとそのソフトのお試し版を手に入れたところだった
先ほど、魚眼レンズの水平方向のゆがみとスピンパノラマのゆがみは
「同じだ」と書いたこと
憶えていてくれただろうか?
つまり魚眼レンズの垂直方向のゆがみだけを直せば
とてもつなぎ合わせ易い、相性のいい組み合わせというわけだ
もっともこの意見に対して、こういう反論も成り立つ
普通のレンズの水平方向をゆがませれば同じことだ
確かにそれも正しいし、通常のステッチ・ソフトはそうしてるわけだけれど
パノラマ・ステッチを数多く経験していると
どちらの難易度が高いかは、見当がつく(気分的にかもしれないが)
というわけで今、魚眼レンズ+つなぎ合わせソフトの組み合わせに夢中になっている
下の写真の成果を見てもらいたい
この写真の左右はほとんど360度が写っている、天地は100度近く
さらにレンズの高さより上側がたくさん写っており
かつ、垂直の柱は垂直に写っている、コレはアオリ効果だが
魚眼レンズでアオリという機能は使えない
レンズを上に向けて撮影し、上すぼまり(に普通は写る)をソフトで補正した
この場所、幅1メートル半ほどの廊下で、T字状にほぼ正面から階段が上っている
左右に写っているアーチの距離は3メートルあるかないか
その奥に見える二つのドアは、直線の廊下の端と端のドアというわけだ