7/18/2003更新  今週のポラ07 <恋するレンズ>


一枚目(上)のポラは
目を半分つむりかけている
「別にかまわないよ」ポラだから・・・
ボクがポラで見たかったのは
初めて使うライティングの雰囲気
ライティングはよし
・・・「陰影がいい」と彼女
「この光には白いバックの方がいい」とボク。
それでもう一枚撮ったのが下のポラ。
陰影が強調されてシャープだ、
風もいい具合に効いている
前髪が上がって、雰囲気がかわった。
そうだ!
このライティングで思い出した写真がある。
もう20年以上も前
若いアシスタントだった頃
ボクの撮った写真
自作カレンダーに作ったプリントが
残っていた(右側の白黒の写真)
これは当時、資生堂が"MORE"という
オードトワレの広告写真に
横須賀功明(多分字が違う)を起用して
撮った写真を、まあ、練習のつもりで
カバー(コピー?)したモノだ。
影の出方、飛び気味のバック
風になびく髪、みんな似てる。
なーんだ20
数年ぶりのリバイバルか!
っと自分で驚く。

2002年用アルバムの撮影も、シーズン半ばにさしかかろうとしている。
前にも書いたように(今週のポラ_05)
『愛のある写真』を撮ろうとして、ふっと恋に落ちることもある。
とても気持ちよく撮れたという程度の意味に理解してもらえばいい
恋に「落・ち・ら・れ・た」モデルは迷惑かもしれない
ボクはノリノリでたくさんのフィルムを回し
彼女(時々は彼)はそのフィルム代と現像代を払う羽目になるんですから・・・
ボクは現像が上がったフィルムをベタ焼き(コンタクトプリント)し
軽い失恋を味わうこともある
今もプリントを焼き、自らの薄っぺらな愛に落ち込んでいる
ポラに写っている彼女のことではない
もう少し前に撮った「愛のある写真」の愛のことだ
そして、明日の新しい愛のためにセッティングを作り直してみたり・・・
そう、愛だけではどうも写真は撮れないようなのだ。
彼女たちが僕たちカメラマンに期待しているのは、
「恋するレンズ」なんかじゃなく
そのまんまの彼女たちを・・・そのまんまの方が素敵だと思うんだけど
少しだけ、場合によってはすごく、ソフィスティケートする技術・・「ナマ」っぽさを消す技術?
たとえば、肌は飛び気味なほど白く、脚は九頭身ぐらい長く
はじけるような笑顔、そう、笑顔!笑顔!・・・一般的にモデル事務所は好む
思いつめたような眼が好きな娘もいる・・・が、一般的にモデル事務所は好まないね。
で、いつも思いつめたような眼でレンズを見つめられてしまうと
何とか笑顔をちょうだいよ!って思う
「笑って!」といって笑えるもんじゃないし
そんな笑顔はどうせ営業用の笑顔なんだから、ちょっとボクが笑ってみたりする。
するとボクのスイカグチ(西瓜口)を見て笑ってくれる子も多い。
少しだましのテクニックも使うな
今シーズンでいえばふりかえりのポーズ。
腰から下はヒップの魅力、ひねったウェストは細く見え
バストは横から見ることになるので、んーん、魅力的!
突然ふり向いた表情に営業してる余裕はない。
可愛い女の子にふり向かれた気分はいいでしょ?・・・男性にとって。

定番:脚を長く見せるテクニックは自慢!
ボクのオリジナル ・・・ではない。
20数年前、スタジオアシスタントを始めたばかりのころ
和服の撮影で、大型カメラを使ってそのテクニックを使うのを見た。
それを35mmの小型カメラで応用してみただけのこと、 もうひとつ、「ほっちぽっち」という雑誌で
「大名古屋回顧風景」という特集を撮ったことがある
その時に、超広角レンズを使って
とても高いアングルから、ビルを背景に
モデルを画面下の方に配した写真を撮った
そしたら、とっても脚が長く見えて写ったんだ、それがヒントだった。
もう7〜8年前からやっていて、すっかりポピュラーな誰でも使うテクになった。
ボクも嘘つき写真は本意ではないのですが、
脚長レンズになれてしまうと
普通のレンズで撮れなくなってしまう、麻薬のように!
でも特別になんかやってるんじゃない・・・まあ眼の錯覚を利用してるようなモノ。
下から仰ぎ見るように広角レンズを使って撮るから・・・は誤解だ。
確かに広角気味のレンズは使うが、アングルはそれほど低くはしない。
少し前に出た足の部分や、足の甲の長さが
脚の長さにプラスされて見えるというのが真相。
普通の広角レンズでも出来るけれど、頭の上に広い余白が出来てしまう
それをシフト(アオリ)レンズで調整というかカットするのがミソだ。

カメラマンにTipsをひとつ
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足元はレンズのイメージサークルの周辺部で光量がかなり不足する(暗くなる)
ボクはハニカムのオパライトを使ってかなりの光量を足元に補っています。
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デジタルプリントならば
フォトショップを使って、脚を伸ばすことも出来てしまう、
はっきり言ってそれは「嘘つき」、掟破りのテクニックだ。
一昨年、少し「嘘つき」やっちゃったから言える!

10月に港のジェティーにある現代美術館で
HIROMIXの写真展がある(以下のURLで詳細がわかります)
http://www.kohjiogura.com/moca/current/moca_current.html
10月14日にはサイン会もある(ミーハー!)・・・ボクは行きます。
HIROMIXを初めとする
ガーリー・フォトグラファー(女の子ばかりじゃないが)が流行始めたころから
コンパクトカメラでバカッとフラッシュを焚いた様な写真がはやっている。
この言い方が当たってるかどうかわからないが、「ナマ」な写真。
ストレートで、ソフィスティケートされた技術のウサン臭さがない写真。
つまり本物っぽい、「綺麗な広告写真」は嘘臭い!ってコトか?
あっ待てよ
3DのCG美少女も今っぽい流行モノだけど、まるで対極だ。
ボクも「ナマ」っぽい写真撮りたいとずっと思ってる・・・が撮れない。
何度かトライしたんだけど・・・撮れなかった。
「どうもアンチ・テクニックだけではないようだ」
そんなこと言ってると、オヤジカメラマンになっちまう!
前にもこんな事、書いてたな・・・
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キレた写真というのがどんなものか、僕には見えないけれど
それが、今の僕のライブラリーに必要なのは理解できる。
それは、多分98年の年賀状に、少し書いたコントロールされてない写真のことだと思う。
アンチ一眼レフ、ノーファインダー、計算されていない構図
アベイラブルライト(説明難しいから、自然光と思ってもらっていい)
または、シンプルな補助光(カメラについているフラッシュのことか?)
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「ナマ」っぽさと、ソフィスティケーションのせめぎ合い・・・か?
やっぱり「愛」か・・・そうだ「愛」だ、「愛」と広角!
おまけもついてるよ!
モデル撮影をやってるボクが写っているカッコイイ印刷物があります。
Jiottoというモデル事務所の男モデルを特集したパンフレット
モデルのアルバム撮影のことを書いたので、
現場の雰囲気をお見せできるかもしれないと思って、
出たがりの南部はこれを転載します。
デザインとスナップは、山口よしと氏、伊藤まさよ(Hucklevery much Inc)
転載のご了解は、松本ハルオ氏(株式会社ジオット)

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