さて、初級ライティング講座などは、まぁおいといて・・・
二〜三日前にモデル写真の件で腹が立ったことがあった。
僕が腹を立てることのほうが、理不尽なことだと思うので
腹を立てられた人には、ここでこうして俎板に乗せること自体、「申し訳ない」ことだとは思っている。
僕が勝手に、腹を立てたその相手は、
僕の住む地方では大手の広告写真スタジオに勤める=30歳を超えたばかりの「有望(と僕は思っている)若者カメラマン」
そして、彼が会社のウェブサイトで公開した「仕事の作品」写真に対してだった。
ことの始まりは、彼からのメール・・・・「会社のウェブサイトの、プロフィール紹介写真を更新したので、ご覧ください」というものだった。
若干の伏線はあった、
2年ほど前、共通のクライアントを通じて、僕のことを知った彼から、会いたいというアプローチがあった。
もう少し説明を加えれば、彼は大手の広告写真スタジオに勤め、将来を嘱望される30歳、
僕に言わせれば「正規軍の青年将校」
僕はと言えば、ひとりで小さな仕事を拾いながら、スタジオを切り盛りしている「面白い写真も撮る、中年ゲリラ兵」である。
若干の謙遜が僕にはあるが、客観的に見れば「書いた通り」である。
そういう僕に興味を持ってアプローチしてきた彼に、僕は興味を持ったし、嬉しくもあった。
彼の会社のウェブサイトには、彼の「作品」が掲載されていたのだが
物撮りだったりインテリアだったり、風景のようなものもあったかな?
何度目かに、会ったは「モデル撮影が好きだ」と言い
僕は、「じゃぁ、それをウェブに載せて欲しい」と言った。
その後、僕の「お気に入り」のモデルを彼も撮影し、彼もお気に入りだと言っていたので
彼女をモチーフに競作なども楽しみにして・・・URLをクリックした。
彼の写真を「上手いとか、下手だとか」、そんなことで怒ったのではなかった。
彼宛の感想メールにも書いたのだが「危機感」を感じてしまったのだ。
すでに彼も「オーバーサーティー」ではあるが、僕から見て若者の感性を感じることの出来ない写真だったからである。
もちろん、彼にもエクスキューズはある、
つまりそれらの写真は老舗の流通広告で撮った写真であり
クライアントの要望に沿って撮られたものなのだから・・・・にしても、古かった。
さらに、僕はメールでこう書いた。
「この写真がクライアントの要望に沿った仕事の写真だとしたら、仕事写真とは別に『君の写真』も見せたほうが良い」と
実は、30歳前後のカメラマンの撮るモデルの写真には違った意味で、僕は興味があった。
僕は、この十数年なんとなく行きがかりで、でも楽しく撮っているモデルの宣材写真、
フリーになりたてだったりする若者の写真に煽られながら、努力して撮っているのである。
(彼らは、習作の意味も込めて、作品撮りという、宣材写真を撮りたがる)
煽られるのは、若者の感性だったり、バイタリティだったり、いろいろだが
彼らから受ける刺激と、自分の感性や手法を更新する努力を楽しみながら、撮ってきた。
今では、友達の魚ちゃん(オネーチャン写真では、オールジャパン的に結構有名になってしまった)の写真にも、
数年前には、しっかり煽られた記憶がある・・・もちろん今でも、彼の写真には良い刺激を受けているのだが。
そんな刺激のひとつを「彼」の写真に「実は」期待していたのだった。
そして感じた「危機感」は、彼に対してと言うよりは
彼の所属する「業界」に対してであったと、告白しておこう。
僕は、まだまだ、光や構図、表情の切り取り方、すべてに
「新鮮さ」を求めて、更新し、撮り続けていこうと思っている。
・・・魚ちゃんにはしっかり、「コンサバ南部」と言われ続けているのだが・・・
ちょうど今、そんな宣材写真を毎日のように、休日もなく撮り続けている季節
そして、今年は「こんな切り口で」とか、それなりに苦労しながら撮っている毎日なので
オヤジカメラマンが腹を立てるのは「お門違い」ながら
妙に腹が立ってしまったと言うのが「真相」だとは思っている。
でもねXX君、ゴルフしてる暇はないと思うよ。
それが仕事に繋がると、思っていたら、本末転倒だと僕は思うんだなぁ。
そこが「君の所属する業界」への危機感なのだ。
註:ここで書いている「業界」とは、一般的に使われている言葉の意味を少し(意識的に)はずしています。